終戦70年。山田洋次監督の送るやさしくて、悲しい母と息子の物語。
ーあらすじー
1948年8月、長崎で一人で暮らす伸子(吉永小百合)の前に。3年前に原爆で亡くしたはずの息子浩二(二宮和也)がひょっこり亡霊となって現れる。
その日から、他愛のない話から思い出話など楽しい時間を過ごしはしめる。しかし、浩二の一番の関心は、恋人であり婚約をしていた町子(黒木華)のことだった。
日を重ねるごとに息子が愛おしくてたまらなくなるがその時間は永遠に続くものではなかったー。
涙腺を刺激するたくさんのセリフたち。
「浩二はよう笑うのね。」
「悲しいことはいくらでもあるけん、なるべく笑うようにしとるとさ。」
「もし、もし町子さんに誰か好きな人が現れたとしたら、
そん時は、母さんもあんたも
あの子のことをあきらめるしかないでしょ。」
「嫌だ、そんなの絶対嫌だ!
町子には僕しかおらん!」
「本当にその通りだけど、
浩二、お前はもうこの世の人じゃなかやろ。そこを考えてちょうだい。」
ファーッ( ; ; )
泣けました。戦争の残虐さを人の心の痛みに置き換えて描く。
それって血がとびちる映画よりもズキズキして、心の奥に昨日まではなかった見えない傷跡を残す。
これ以上の戦争反対のメッセージってないですね。
そして、特筆すべきが吉永小百合さんと二宮和也さんの親子感!
違和感、ゼロなんです。
こんな親子がきっとあの時代には、たくさんいたんだなという説得力がありました。
本当の家族のようで・・・。
どれだけ仲が良く、思い合っていた家族だったかがとてもよく伝わるんです。
ちなみに試写室からは終始、すすり泣きが聞こえている状況。
大事な家族を亡くしたお母さんの視点、
生きたくて堪らなかったのに死ななければならなかった息子の視点、
他の人は2度と愛さないと決めた残された婚約者の視点。
どの視点で観ても心にくるものがあるので、泣けるポイントが人によって異なってくるんですよね。
予告編で泣いてる方も多いですが、今年の締めくくりとなる12月、泣けるだけでなく心まで浄化される作品なので是非観てもらいたい1本です。